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1on1ミーティングで満足度の高い対話テーマとは?【1on1アンケート】

リモートワークの広がりや社会的風潮の変化を経て、多くの企業で1on1の導入が進んできました。
1on1自体が各上司-部下間で行われることの多い施策のため、他のペアがどのような対話内容で1on1を実施しているのかを、気になっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、TeamUpが独自に実施している1on1実施状況・満足度アンケートの結果に基づき、各ペアがどのような対話テーマで話しているのか、またどのような対話テーマで話している人の満足度が高い傾向にあるのか、具体的な事例などをご紹介します。

1on1実施状況・満足度アンケートの結果サマリー

1on1で多く話されているテーマとしては「業務の進捗・課題相談」や「雑談」になっているが、一方でより1on1に対して満足度の高いペアの声を拾うと「成長に向けた相談」や「強みのフィードバック」など部下の成長意欲を尊重した対話をしているケースが多いことが分かりました。

1on1実施状況・満足度アンケート概要

弊社独自で行っている1on1実施状況・満足度アンケートでは、上司-部下に分け、それぞれ設問を用意し回答結果を収集しております。
今回はそれらの回答結果より、以下3つの設問の集計結果をピックアップしてお伝えしていきます。

図表1 1on1実施状況・満足度アンケート

Q, 1on1を実施することの意義をどの程度感じていますか?

上司部下それぞれに対して、1on1施策に対する意義を確認した設問です。

  • 5段階評価(5が最高-1が最低)のうち上司部下共に平均得点が3.8となりました。
  • 4をつけた比率が一番高く、上司部下ともに約37%~38%程でした。
  • 1on1施策に対する意義の実感値としては、上司-部下間の差異はあまり見られませんでした。
  • 上司部下ともに平均的には、満足度高く1on1ミーティングを実践できていることがわかります。
図表2 1on1を実施することの意義

Q,1on1において部下と、どのようなテーマについて話しましたか?(複数選択可能)

1on1においてどのようなテーマを取り扱ったかを確認する設問です。

  • 「心身のコンディション」/ 「雑談・業務外の会話」/ 「業務の課題・困りごと」の3つの項目が取り扱われたテーマとして上司部下ともに上位となっています。
  • 上司-部下間での差異がある項目が複数確認できます。
    ⇒一番大きな差異になっている「今後のキャリア」については、上司側としては部下の志向性を聴くことができたと考えていたとしても、部下側としてはキャリアについて十分な相談ができたとは感じていないという差異があると考えられます。
図表3 1on1における対話テーマ

上記設問のクロスセル集計

「Q,1on1において部下と、どのようなテーマについて話しましたか?(複数選択可能)」という設問にて、各選択肢ごとにチェックをつけた人の「1on1の意義」の満足度の平均点を算出しました。

  • 上司側でスコアが高い項目が「部下の強みや弱み、価値観など」「部下の課題の振り返りや内省」「社内の人間関係」でした。
  • 部下側でスコアが高い項目が「成長に向けたテーマ設定」「自身の強みや弱み、価値観など」「目標設定や目標の振り返り」「社内の人間関係」でした。
  • 「社内の人間関係」にチェックをつけたペアの満足度が一定高い点については、
    1, プライベートな場だからこそ聞くことのできる話である点
    2, 出向やリモートワーク等、直接的に人間関係を構築するチャンスが少ない方が多い点
    等により、満足度が高まっていると考察できます。
図表4 各選択肢ごとの1on1施策の満足度

現場の声抜粋

「Q,1on1を実施することの意義をどの程度感じていますか?」において、5をつけた方の「1on1を実施していてよかったこと」のコメントを抜粋します。

上司側コメント:

「冒頭の雑談を通じて休日のことや体調のことを話せるので、業務以外も含めて本人全体のコンディションを認識できる。また、関係構築の一助になっている。個人のwillや課題の対話を通じて、ネクストチャレンジや業務調整などサポートがしやすい。

「メンバー視点での進めにくさを詳細に聞くことで自分の振る舞いを変えることができて、仕事を進めやすくなった。またそれに伴い、自分が変化していく姿を見せられて、メンバーも内省しようと思ってくれた。

部下側コメント:

課題を客観的に伝えてもらうこと、またふるまいに対してのFBなど、指摘をもらえること」
「仕事が上手くいってないときこそまとめて報告・相談ができるので、立て直しのきっかけにしやすい。また、一人では客観視が難しい自分の状況を見てできてる部分やプラスの部分を知ることができた。
「現場の自分の立場から今後はどのように動いているかを話し、最終的にはどの立場にいて欲しいか。自社としてどのようにスキルアップをして欲しいかを聞け、自分の動き方を見直すきっかけになりました。

まとめと考察

現状としては、「業務の課題や困りごとの相談」の場が議題の中心となり、「心身のコンディションの確認」・「雑談」を通じて良好な関係性を築く場にしているペアが多く、これらの場合は比較的意義を感じている人が多い状況になります。

上司側は「部下の強みや弱み、価値観など」にチェックをつけた方のスコアが高く、定性コメントも踏まえると、1on1を通じて、部下の個性や志向性を理解することができていると1on1への満足度が高い傾向にあります。
部下側は「成長・目標・内省」等のテーマにチェックを付けた方のスコアが高く、定性コメントも踏まえると、1on1を通じて、日常業務では話しづらい個人の成長視点での対話を実施できると、1on1の満足度が高い傾向にあります。

弊社の推奨としては、1on1に慣れてない時期は話しやすいテーマを、慣れてきた後は満足度の高くなる傾向にあるテーマを取り入れていくことが、スムーズな1on1への定着に繋がると考えられます。


※ただし、今回はあくまでもテーマからの考察であるため、対話の質的要素を省いた結果となっています。特に「成長・目標・内省」等のテーマで話をする際は、上司側の部下支援スキルも求められるため、能力向上をセットにして考えることがおすすめです。

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