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【調査報告】withコロナ時代における企業が抱える組織課題とその解消施策とは

新型コロナウイルスの影響を受け、この2年間で企業は多くの課題に直面し、適応してきています。しかし、withコロナ時代において、企業はいま何に課題を感じ、どのような施策を実施しているのか、を参考にしたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。

そこで、チームアップでは、人事ポータルサイトHRプロ上で、『「エンゲージメント向上等に向けた課題と施策」に関するアンケート』というアンケートを実施し、2022年2月4日からの14日間で235名の方から回答を得ました。

今回は、そのアンケートの分析結果を紹介いたします。特に、昨今重要な組織課題として見られている「社員のエンゲージメント向上」や、エンゲージメント向上・成長支援を見据えて上司・部下間での対話を促すために導入されることの多い「1on1ミーティング」に焦点を当て分析を行いました。

※調査結果詳細は こちら をご参照ください

1. 調査概要

●アンケート概要詳細  

●結果サマリ

・Withコロナ時代の働き方が見えてきたいま、今後どのように「社員のパフォーマンス向上・エンゲージメント低下防止」していくかが組織課題。この改善には「上司・部下間」のコミュニケーションに目を向けることが重要といえる。

・改善へ向け「マネージャー向け研修・育成」や「1on1ミーティング」を導入する企業が多数。特に「1on1ミーティング」は約7割が何らかの形で導入済み。「心理的安全性の向上」「キャリア開発」「組織の方向性共有」などに効果がでており、多くの企業ではすでに1年以上の実績あり。

・導入していない企業の理由は「現場におけるスキル不足・負担増」。1on1ミーティングに何を期待し、どんなことを話すのか、未経験の上司でも実施しやすい仕組みづくりが重要といえる。

2.調査結果

●企業が直面する組織課題とその要因

今後どのように「社員のパフォーマンス向上・エンゲージメント低下防止」を進めていくかが組織課題

組織課題で最も回答が多かったのは「1.社員のパフォーマンス・生産性の向上」であり、約47%の回答者がこちらをトップ3の課題として回答しました。

また、「2.社員のエンゲージメント低下」「5.メンタル不調・休職者の増加」「6.離職者の増加」といったリスク対処に関する選択肢についての回答比率は67%と約2/3となっています。

つまり、社員のパフォーマンス向上という成長の視点、エンゲージメントの低下防止というリスク対処の視点、両面で課題を感じていることがわかります。

図表1 重要度の高い組織課題

次にその要因を見ていくと、過半数以上が「上司・部下間のコミュニケーション」にあると回答しており、他の「上司・部下間」に関する回答も含めると実に87%程度、3/4以上が「上司・部下間」に課題の要因が潜んでいると見ています。

コロナ禍をきっかけとした、働き方が多様化していくなか、コミュニケーションを従来のようにスムーズに取ることが難しくなり、日々変化する部下の状況を把握しきれていない上司も多いと考えられます。

そのため、適切に「上司・部下間でのコミュニケーション」が行えるような場づくり、施策づくりが重要であるということがうかがえます。

図表2 組織課題に対して影響が大きいと感じる要因

●組織課題解決へ向けた施策

1on1ミーティングを実施する企業が多数

「社員のパフォーマンス・生産性の向上」または「社員のエンゲージメント低下」に課題があると回答しており、要因を『上司・部下間にある』と回答している回答者のうち、「1on1ミーティングを何らかの形で実施している」と答えた方は約69%となっています。また、この傾向は特に企業規模が大きくなるほど強くなっており、特に1001名以上の企業では85%以上と、ほとんどの企業で実施されている状態でした。

図表5 1on1ミーティングの導入状況

図表6 1on1ミーティングの導入状況(企業規模別)

●1on1ミーティングの施策効果

1on1導入企業からは、「心理的安全性の向上」「キャリア開発」「組織の方向性共有」などに効果的であるとの声が上がっている

1on1ミーティングの実施効果についても確認したところ、検証中の場合を除いて、78%程度の企業で「効果を感じている」という回答が得られました。

効果を感じたという声の中には「リモート上でも部下の困りごと・もやつきに気づき、解消できた」「上長が傾聴を心掛けることでよい方向へ進んでおり、心理的安全性の向上につながっている」という声や「個人のキャリアについて話しあえている」という声もあり、1on1ミーティングを通して様々な情報のインプット・アウトプットができていることがわかります。

図表7 1on1ミーティング導入の効果(「検証中」「その他」の回答を除く)

●1on1ミーティングの施策成功のキーポイント

施策の成功のためには、未経験の上司でも実施しやすい仕組みづくりが重要である

現状まだ1on1ミーティングを導入していない・検討していない企業の導入における障壁を調査したところ、「現場におけるスキル・負担増」が導入の障壁と考えていることがわかりました。

図表8 1on1ミーティングを導入していない理由

1on1ミーティングは導入が容易な反面、こうしたスキルや枠組みがデザインされていないと形骸化したり期待した効果が得られなかったりといった問題が発生しやすいのも事実です。

そのため、1on1ミーティングを導入する場合は、1on1ミーティングが未経験の上司でも実施しやすいフローや対話の型づくりやPDCAが回る仕組みを設計することが重要であると言えるでしょう。

3.調査結果まとめ

Withコロナ時代の働き方が見えてきたいま、今後どのように「社員のパフォーマンス向上・エンゲージメント低下防止」していくかが組織課題であり、この改善には「上司・部下間」のコミュニケーションに目を向けることが重要といえます。

改善へ向け「マネージャー向け研修・育成」や「1on1ミーティング」を導入する企業が多い一方で、1on1ミーティングに何を期待し、どんなことを話すのか、未経験の上司でも実施しやすい仕組みづくりが重要といえます。

ぜひ、本調査内容を今後のご活動にお役立てください。