1on1におけるティーチングとフィードバックのポイント
1on1ミーティングといえば、部下中心の場が基本概念と言われるため、上司(メンター)側の傾聴力の重要度が高く、多くの方の関心もそちらにあると思われます。
しかし、弊社独自のアンケートによると、部下側から、
- 「上司からアドバイスが欲しい」
- 「上司からフィードバックをもらいたい」
といった声が少なからずあることがわかっています。
相手中心という概念を押さえつつ、上司側からも伝達をするためには、いったいどのような点を押さえた上でコミュニケーションをとるべきなのでしょうか。
リスペクトを中心としたコミュニケーション
1on1でのコミュニケーションスキルには、傾聴・コーチング・ティーチング・フィードバックとありますが、土台はあくまでも『リスペクト』です。
傾聴やコーチングと同様に、場合によっては、リスペクトを土台とした上司側からの伝達(ティーチングやフィードバック)をすべきシーンもあります。
これらのコミュニケーションを適切に用いることで、
- 仕事の効率を大きく改善する
- 部下当人が気が付かない成長の機会を渡せる
といったメリットを得られるようになります。
それらを1on1の中で享受するためにも、どのような点を押さえてティーチングやフィードバックを実践すべきなのでしょうか?
ティーチングのポイント
ティーチングとは、上司側から部下側に対して、情報を伝達することを指しますが、リスペクトの概念を踏まえた上でのポイントは、
考える余地を残しつつ、適切な量のティーチングを心がけることです。
そもそもティーチングをする際は、
What(何を)- Why(なぜ)- How(どのように)の3点を網羅的に説明することで、相手に物事を伝えやすくなります。
この3つのポイントの中で工夫を取り入れることで、相手の立場にたったティーチングが可能になります。
例えば、「Why(なぜ)」にあたる、背景や目的を理解することで、その後具体的にどのような動きをすれば良いのかを思考しやすくなります。
何かのタスクを教える際に、このWhyを伝えずにWhatのみを伝えると、
具体的にどのような動きをすればよいかが分かりづらく、手が止まることが増え、結果として失敗経験を積みやすくなります。
このような状態は適切な量のティーチングが足りていない状態と考えられます。
他にも、Howを丁寧に伝えすぎることで、部下が思考する余地を奪ってしまい、成長の余地を残さない状態にしてしまうケースもあります。
この場合も、考える余地がなく、そもそもの部下育成という1on1の目的とは離れた行動になってしまいます。
あくまでもティーチングを行ったあとに、部下が仕事を通じて成長していけるかどうかを主軸にした支援を行う必要があるということです。
フィードバックのポイント
フィードバックは、リスペクトを中心として実施しないと、上下関係が色濃く出やすく、部下が正論で詰められるという場になりがちです。
そのため、他のスキルと同様にフィードバックはリスペクトを持った上で実施することが重要です。
いくつかのポイントを以下に列挙します。
1, 許可をとってからフィードバックする
「少し気になる点があったのですが、フィードバックをお伝えしても良いですか?」
のように、一度許可をとった上でフィードバックを行うことで、相手が予期していない指摘を受ける必要がなくなります。
部下から上司になんの配慮もなく指摘をすることを失礼に感じる上司がいるのと同様に、
上司側から部下に対しても、なんの配慮もなく指摘をするのは失礼に感じる部下もいます。
この点を踏まえると、フィードバックを実施することに対して同意をとれると、上司側も伝えやすく、部下側も受け止めやすくなります。
2, フィードバック後に意見を尋ねる(+受け止める)
フィードバックを実施した後は、相手がどう思ったかを尋ねるようにしましょう。
もしかすると、相手にとっては、フィードバックが拒絶したくなるような内容になっている可能性があります。
そういった時も、一度相手の話をしてもらい、その意見や感情を受け止めることで、お互いの認識をすり合わせやすくなります。
※逆に、相手の意見を即材に否定してしまうようなコミュニケーションをとってしまうときは、
フィードバック自体が押しつけになっている可能性もあります。
いかがでしたでしょうか?
傾聴力を発揮して、相手の話をきく以外ににも、リスペクトを込めた姿勢であれば、当然ながらティーチングやアドバイスも有効になるケースがあります。
適切な状況を見極めて、リスペクトがこもったコミュニケーションをとっていきましょう。