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多様性を1on1ミーティングに活かすには

今回は、D&Iといわれるダイバーシティ&インクルージョンの考え方から、1on1をどのように進めていけばよいのか?を考えていきたいと思います。
近年、D&Iという言葉が広まり、多様性を重視する考え方が浸透してきています。その対応性を尊重した施策の形の1つが1on1ミーティングです。どのようなポイントを理解して実施することが重要なのでしょうか?

多様性とは?

コンサルティング会社のマッキンゼーがドイツとイギリスの企業を対象に行った分析では、経営陣の人種および性別の多様性の豊かさが上位4分の1に入っている企業は、下位4分の1の企業に比べて、自己資本利益率が66%も高いという結果がでたそうです。
このように、多様性は企業にとって非常に重要な要素であると証明するデータが増えてきています。多様な背景、文化、経験が集まることで、より創造的なアイディアが生まれやすくなり、問題解決の能力が向上するという理屈はわかるものの、ビジネスの現場において、多様性をどのように活かしていけば良いのでしょうか?

多様性を取り扱うポイント1 - 認知的多様性-

多様性には2つの種類があると言われています。一つは「人口統計学的多様性」といわれるもので、性別や国籍・階級などの違いを指すものです。そしてもう一つは、考え方や視点の違いを指す「認知的多様性」です。これら2つは相関関係があるもののイコールではないと考えられます。
例えば、性別が異なっていたとしても、同じ組織に長く属することで、近しい考え方になっていくケースもあれば、一方、同じような経歴だったとしても、「個人主義」や「全体主義」など、思想の異なる人同士で対話をすれば、多様性のある対話になっていきます。
このように「人口統計学的多様性」という指標だけにとらわれず、現場メンバーの「認知的多様性」重視し、考え方や視点の違う社員の意見に耳を傾けるという行為だけでも、組織の盲点を補ってくれる可能性が高まります。

多様性を取り扱うポイント2 - 盲点をなくす -

アメリカの心理学者、フィリップ・E・手とロックは「視点が多様化すればするほど、見つけられる有益な解決策の幅が広がる」と言いました。
このように網羅的な意見を出す場面で、多様な背景を持った人材が集めることは有効です。
アメリカの作家、デヴィッド・フォスター・ウォレスが2005年にケニオン大学の卒業生に送ったスピーチにはこのような一説があります。

「2匹の魚が泳いでいると、向こうから年上の魚がやってきてこういった。『やあ、おはよう。今日の水はどうだい?』2匹の魚はそのまま年上の魚とすれ違い、しばらく泳いだ後に、顔を見合わせてこういった。『水って何?』」

私たちは普段、ものを見たり考えたりすることを無意識に行うため、自分がどんなフィルターを通して世界を見ているのか自覚する機会はとても少ないと言えます。それにより、他者から見たら明らかな点に気が付かずに、物事を進めてしまい、後から振り返ると「なぜ気が付かなかったのか?」と思えるようなミスをしてしまいがちです。そのような事態を防ぐためにも、多様な人材を集め、問題発見やアイディア出しを行うことは有効な活用法と言えます。

※注意点として、問題解決を取り扱う場面においては、多様性は悪影響を及ぼすケースもあるとも言われています。問題解決のためには、一部のアイディアを切り捨てなければならないことが往々にしてあるため、複数のアイディアの中間をとるようなことをすると、矛盾が生じ、効果が薄れてしまうからです。

多様性を重視した1on1ミーティングとは?

これらの話を踏まえ、どのような1on1ミーティングを実施することが良いのでしょうか?いくつかのポイントを列挙します。

  • コミュニケーションに配慮する
    当然ながら、文化的な違いや言語の壁がある場合は、コミュニケーションのスタイルや使用する言葉への注意が必要になります。自分が使用している言葉は、部下が受け取りづらい表現になっていないか、自分が求めているコミュニケーションが部下から理解しがたいものになっていないか?また背景をちゃんと説明しているか?などをチェックする必要があります。
  • 意見を聴き、それを深掘りする
    一見自分の考えとは異なる意見だったとしても、実は自分の盲点をカバーするものになっている可能性があります。腑に落ちない意見だったとしても、その背景を傾聴し、どのような視点からその物事を考えているのかを確認してみましょう。
  • 問題発見を目的として、部下に相談してみる
    自分の視点では見えていないような視点での意見をもらえる可能性があります。その意味でも、この問題発見のタイミングで部下の意見を取り入れるのは有効です。また上司から部下に対して相談をするという行為は信頼関係を深める行為でもあります。

いかがでしたでしょうか。『多様性』を意識したコミュニケーションを取り入れて、組織をより強い状態に仕上げていきましょう。

参考書籍:

「多様性の科学」
マシューサイド著

多様性という言葉が大きく広まっている中で、なぜ多様性が重要なのか?を豊富な実例をもとにして解説している本になります。ダイバーシティ経営やチームマネジメントに多様性の考え方を取り入れたい方には、おすすめの一冊です。