「個」が輝ける組織を目指して。1on1ミーティングとログ公開で強みと弱みを見せ合っていく

「個」が輝ける組織を目指して。1on1ミーティングとログ公開で強みと弱みを見せ合っていく

課題

  • メンバーが複数拠点に点在しており、それぞれが異なる価値基準で行動していた
  • 日々の業務の達成度やコミュニケーションの方法について、フィードバックを伝え合う場が必要だった

TeamUpを選んだ理由

  • 機能がシンプルで使いやすそうだったから
  • 他のツールに比べて低コストだったから
  • 1on1ミーティングだけでなく、360度フィードバックの運用もカバーしているから

効果

  • 1on1ログのテンプレートに組織のバリューを反映した項目を組み込むことで、組織全体で共通の価値観を持つことができた
  • すべてのペアの1on1ログを社内で全公開することで、一人ひとりの強みや弱みを共有できた

離れていても、メンバーが増えても見失わない軸が必要だった

━━日本農業様の事業内容と秋元様の立ち位置について簡単に教えていただけますか?

日本農業のメイン事業は日本産の農作物の輸出におけるトータルコーディネートです。生産や流通、その先の海外市場でのマーケティングといった各工程に入り込み、オリジナルブランドをつくるためのバリューチェーンを構築しています。その中で私は現在、組織や人事の責任者という立場にいます。

━━どういった経緯で現在のポジションに就かれたのでしょうか?

私はもともとマッキンゼーで働いていたこともあり、人事・組織の領域に興味がありました。マッキンゼーの環境で特徴的だったのが、誰もが「個」として立っているところ。しかし、ただ自立しているだけでなく、チーム内でお互いの強みや弱みを補完していくという、巧みな組織設計が面白いなと思っていました。その後、自分でもそんな組織をつくっていきたいと考えていたときに、知り合いだった代表の内藤に声をかけられたんです。日本農業は輸出事業をやっていることもあり、産地の青森やマネジメントをしている東京、市場であるタイやインドネシアなどに社員が点在しているので、組織が崩れやすい。そういった危機感があり、ちょうど専任の人事が必要なタイミングだったようです。

━━実際に入社されてからは、具体的にどのようなことに取り組まれたのですか?

最初は5人で始まった会社なのですが、私が入社する時点で一気に5〜6人増えて20人ほどの体制になったんです。人数が増えたことに加えて先ほどお話した地理的な分散もあり、それぞれのメンバーが異なる目標に向けて、自己流で働いていたことが大きな課題でした。そこで、全体で何かしらの共通認識を持つ必要があると考え、社員の行動基準となるバリューを明文化することにしました。現在、社内のメンバーに対しては「挑戦を楽しむ」「実行にこだわる」「共に創る」「チームで戦う」というバリューを提示しています。それらのバリュー浸透の取り組みの一環で本格的に1on1ミーティングを導入したんです。

━━1on1ミーティングの運用を開始する上で何か意識されたことはありますか?

1on1ミーティングは大きく3つの意味合いを持つ場として考えています。一番重要視しているのが、やはりバリューを浸透をさせる場だということ。1on1ミーティングで使うテンプレートにも、メンバーにバリューを意識させる項目を組み込み、バリューベースで成長をサポートするような設計にしています。2つ目は、振り返りの場として活用しています。組織の状態を可視化できるサーベイツールを使って分析したことがあるのですが、我々のチームメンバーは「成果に対する承認」への納得度が他の項目に比べて低いことがわかったんです。そこで、1on1ミーティングで定期的にチームリーダーとメンバーが行動を振り返り、一緒に改善案を模索していくよう促しています。3つ目は、より働きやすい環境をつくるために話し合う場としてとらえています。たとえば、言い方がきつい人がいたときに「こんな理由で嫌な気持ちになるから、こういう言葉に変えてほしい」と提案する。そういったコミュニケーション面の要望を伝え合う機会って、普段は意外とないですよね。なので、1on1ミーティングでは意識して話題に取り上げてもらうようにしています。

秋元章吾様

━━様々なツールがある中で、TeamUpを選んでいただいたポイントを教えていただけますか?

1on1ミーティングで話すテーマなどは自分たちで設計したいと考えていたので、ツール自体は機能がシンプルなものを探していたんです。他のツールに比べて低コストだったことも理由の一つですね。また、私たちのチームでは1on1ミーティングの他に360度フィードバックも実施していたので、どちらもスムーズに運用できる仕組みがあるところもTeamUpの魅力でした。

独自の工夫を取り入れ、組織にフィットした1on1ミーティングを実践

━━これまでに1on1ミーティングを運用していく中で直面した課題はありますか?

1on1ミーティングの質や密度については、試行錯誤している段階です。まだ1on1ミーティングの意義を理解しきれていなかったり、業務に追われて準備する余裕がなかったりするメンバーもいるのが現状ですね。

━━1on1ミーティングの質を高めるために何か工夫されていることはありますか?

実は最近、チームリーダーとメンバーでやってもらっている1on1ミーティングすべてに私が入り、1on1ミーティング中のやりとりについてフィードバックをする機会を設けてみたんです。メンターを担当するチームリーダーに対して、後から「こういう話し方をしたらより上手くバリューと紐づけられるのではないか」といったことを伝えました。もっとブラッシュアップできそうなペアはいるので、今後も様子を見ながら時々入っていこうかなと思っています。私自身もまだ勉強中なのですが、コーチングのテクニックなども取り入れながら、メンバーが具体的なアクションが見つけられるようにサポートしていきたいですね。

━━1on1ミーティングにオブザーバーのような立場で同席するという、独自のスタイルを実践されたのですね。1on1ミーティングの力量を測る上で、秋元様の中で基準にしていることはありますか?

相手の話を引き出す問いかけができる人は1on1ミーティングの進め方が上手いなという印象がありますね。メンターが自分から意見を言う場面も必要ですが、まずはメンバーに考えさせた上で意見を伝えて、最後にまた相手の意見を尋ねるという、サンドイッチの流れになるのが理想的かなと思います。

━━組織全体に共通認識を広めていく過程で、特に難しいと感じる部分はありますか?

相手の役職にかかわらず「成長のためには率直にフィードバックを伝え合うべきだ」という文化を浸透させていきたいのですが、まだまだいくつかのハードルがありますね。1on1ミーティングをしたときに、双方向のやりとりではなく一方通行になってしまうケースが多々あるんです。自分よりも役職が上位の人に指摘されたら、すんなり納得して黙ってしまう。理想としては、お互いに対等な関係だということを認識して、指摘に対してさらに自分の考えを伝えたり、逆に相手に対してフィードバックしたりするという動きが徐々に生まれてきたらいいなと思っています。実は私がここまで各自の動きを把握しているのは、すべてのペアの1on1ログを社内全体に公開する設定にしているからなんです

━━他のペアが実施した1on1ミーティングのログは見えないように権限を設定されている組織が多いのですが、日本農業様ではあえて公開範囲を分けずにオープンにされているのですね。どのような意図があるのでしょうか?

一人ひとりが抱えているニーズや強みをお互いに見られる状態にしておきたかったというのが一番の狙いでした。また、他の人のログを読むことで、フィードバックの伝え方なども参考になりますよね。使い始めてから、他にもたくさんのメリットがわかってきました。様々なメンバーの1on1ログに目を通すことで、自分の弱みを補完してくれそうなメンバーがいることに気づいたり、伝わりやすいログの書き方を学んだりする。私たちの組織にとってすごくプラスになっていると思います。もちろん、家庭の話など、プライベートな内容をログに残す必要はないという前提はメンバーに伝えています。

━━他に何か工夫されていることはありますか?

1on1ミーティングのやりとりの中でもう1つ意識しているのが、メンバーには「誰をロールモデルにするのか」を明確にしてもらうこと。たとえば、バリューの中にもある「実行にこだわる」という部分を伸ばしたがっているメンバーがいたとき、「それってあの人が一番実践しているよね」「あの人のSlackでの発言を見ていてもそうだよね」といったコミュニケーションを意識できるといいなと思っています。社内で明確なロールモデルを見つけることで、自分がとるべき行動のイメージがつきやすくなりますよね。このことは皆に伝え続けているので、最近は徐々に具体的なロールモデルを意識している人が増えてきたように感じています。

分析と改善を繰り返し、「個」を伸ばす組織を目指す

━━組織に合った様々な工夫を取り入れながら1on1ミーティングを運用されているのですね。1on1ミーティングの運用を続けてみて、変化を感じた部分はありますか?

初めに重視していたバリューの浸透という点で特に効果が現れていると思います。バリューを定義した2019年4月頃、たまたま会社の喫煙所にいた人たちに「バリューって何だったか言える?」と聞いてみたことがあるのですが、「いや、覚えてないですね」みたいな人が大半だったんですよ(笑)。そのときは「まずいな」と思っていたのですが、約半年間、1on1ミーティングを続けていったところ、少しずつ一人ひとりの意識が変わってきたようです。最近のサーベイの結果を見ても、1on1ミーティングの実施がバリューの浸透につながったということがファクトとして顕著に表れていたんです

━━バリュー浸透の他に挙げられていた、「振り返りの場」としての1on1ミーティングの活用はいかがでしょうか?

振り返りについては、もう少しサポートしながら伸ばしていけるかなと思っています。次のアクションにつなげるための問いかけ力は後天的なスキルだと思うので、まだまだ組織全体でレベルアップできそうですね。

━━今後さらに人数が増えてきて、且つ離れた拠点のメンバーで一緒に働くという難しさがあると思います。その中で秋元様が目指していきたい組織のビジョンを聞かせていただけますか?

現在は25人の状態なので、ここからさらに人数が増えていくと確かに景色が変わってきそうですね。ただ、自分の中では明確な優先順位を決めていて、やはり「個」を伸ばすことが最優先。それをサポートするための要素としてチームがあると思っているんです。一人ひとりがちゃんと自分の頭を使って考えられるのが大前提で、状況によってお互いに支えあったり、自分の能力を最大限に生かすために他者の力を借りたりする。そんなチームをつくるためにも、今後も1on1ミーティングで一人ひとりと丁寧に向き合ってサポートしていきたいですね。

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